志を受け継ぐ：大沢親分、高杉晋作　そして　福光太郎先生の死

 

こんにちは

 

また　一人　昔気質

親分肌の人物が　この世を去りました。

 

ご存知の方も多いと思います。

 

元　日本ハムファイターズ監督

野球界の大御所　大沢親分こと大沢啓二氏が　先日

他界されました。

 

思ったことを　自分の言葉で

歯に衣着せぬ物言いで

正々堂々　おっしゃった　大沢親分のことを

私は　大好きでした。

 

政治家はもちろん

私たち　医学の世界でも

昔に比べ

自分の意見をズバズバ言える

いわゆる　「大物」が

その世界の中心、軸を担うことが　滅法少なくなったと思います。

 

それだけ　世の中が難しくなり

どの世界でも　偉くなるには　不特定多数の人の顔色を

伺いながら　上手く渡ってゆくことが

必要になってきたのかも知れません。

 

しかし　思ったことを　自分の言葉で

遠慮なしに発言するということは

自身の言動に　責任を持ち

責任をとれる人だからこそだと思います。

 

大沢親分は　実に大勢の人々に関わり

日本プロ野球発展のためにご尽力されました

 

そして　そんな人物だからこそ
大勢の人々が「親分」として　大沢氏を

慕ったのだと思います。

 

親分のことを　球界でただ一人「おやじ」と呼んで慕った

江夏豊氏とのエピソードが

１０日　朝のTV番組のなかで

紹介されていました。

 

大沢親分は

自らに　胆のう癌があることを知って

死を覚悟したとき

「男にとってはな　　死ぬことも　仕事や」と

江夏氏に　おっしゃったそうです。

 

私も　これまでの人生、

幾人かの　「師」「親分」と呼べる存在に出会い、

育てていただきましたが

 

そのなかに

「福光太郎」という　京大脳外科同門の

大先輩がおられました。

 

 

福光先生は　昭和６年生まれ

昭和７年生まれの大沢親分と　同世代です。

 

京大名誉教授　菊池晴彦先生らと共に

今や　世界的にもトップレベルに君臨する

我が国の脳外科顕微鏡手術の基礎を築かれました

 

福光先生とは　２０年以上前

私が　京大卒業後　医者になって３年目にご縁をいただき

直接の指導を受け

脳外科医として　また　人間として

そして　男としての土台を　創って

いただきました。

 

お出会いしたときには

既に　前立腺がんに罹患しておられ

手術も受けておられました。

 

その後４年あまりで　他界されましたが

いつも　私に

「男は　死に様　が　肝心や」とおっしゃり

癌と闘いながらも

最期まで　現役脳外科医として

活躍する姿を　まざまざと見せつけられました。

 

勿論　その経験は　20年以上経った今でも

私の生き方に　大きく影響し

私の心の　柱に　なっていると思います。

 

大沢親分と　江夏氏のエピソードを知ったとき

 

死を前にしてもなお　いや　それまで以上に

精力的に　活躍された　我が恩師のことを

思い出した日曜だったのです。

 

そして　この同じ日の夜　さらに私は

人の「死」の意味を　より明解に　教えてもらいました。

 

それは　初回からかかさず観続けている

大河ドラマ「龍馬伝」の中での　高杉晋作の存在　そして

龍馬と　お龍の会話でした。

 

この日の放送で

維新の先駆けとして　幕末を全力で駆け抜けた

伊勢谷友介さん演じる　高杉晋作が

結核による死を前に　海辺で　龍馬に

 

「日本を頼みます、坂本さん…….

「僕の出番は　もう　終わりです」と

告げたことを受け

 

龍馬がその夜　妻のお龍に

「お龍、人はどういて　死んでしまうがじゃろうか

天が　おまんの役目はもう終わったと

思われっちゅうきじゃろか」とつぶやきます。

 

お龍はこたえます

 

「そうかもしれませんね

そやかて　人の死というものは

終わりだけではないと思います

その人の役目を　志を受け継ぐ者にとっては

始まりですさかい」と…

 

 

この世に生を受けた者には

必ず　死が訪れます。

 

確かに　志　半ばにして

この世を去ることは　その人にとって

悔しく　無念に違いありません。

 

まして　高杉晋作のように

29歳という若さであれば　なおさらです。

 

しかし　人の死を　その命の終わりを

何かにつなげること

何かの始まりにすることこそ

残された者に与えられた　使命になると思うのです。

 

高杉晋作、大沢親分　そして　恩師・福光太郎先生の死

私は　偶然にも　一日に

三人の死について考える機会を持ち

生きながらえる自分自身に　気合いを入れました。

 

 

私たちは　人生の中で　必ず　大切な人の死に遭遇します。

 

大切な人の　志　と　心　を受け継ぎ

自らが　与えられた環境の中で　精一杯努力し

 

自分も　人も　そして　世の中も幸せになること

 

それでこそ　その方の命が　そして　死が

輝くことになるはずなのです。